ウィンドウズXP




    2014年4月9日をもって、惜しまれながらウィンドウズXPがその使命を終えました。

    ウィンドウズXPの次に登場したのはウィンドウズビスタです。このビスタは2007年1月発売の一般向けパソコンへ搭載が開始されましたが、乗り換えが進んだとは言い難いものです。

    ほとんど使ったことはありませんが、使用感が変わり使いにくいといった印象でした。OSが新しくなれば使用感が変わり、それに慣れていけば気にならなくなりますが、普及率がそれほど高くないということは、やはり使い勝手が悪かったのかもしれません。

    一説によると、ビスタはXPを開発したチームとは全く別のチームが製作したため、使用感を大きく変更したともいわれています。
    その後発売したウィンドウズ7は、XP開発チームのメンバーが多く携わったため、XP利用者にも受け入れらやすいということです。

    当初評判が悪かったウィンドウズ8は、再びウィンドウズビスタの開発チームが、その開発にかかわっているため、またしてもその評価が悪く、発売後数カ月で、ウィンドウズ8.1をウィンドウズ8利用者には無償で配布するという結果に至っています。

    ウィンドウズビスタが、CPUの負担が軽く、XPからの乗り換えを加速させていれば今回のXP継続利用問題はほんど起きなかったのかもしれません。






    サポート終了間近、Windows XPの現役稼働率は?
    - マイナビニュース調査

    Windows XP 滅亡の日……ではなく、マイクロソフトがWindows XPのサポートを終了する4月9日が間近に迫っている。では、実際にどのくらいの人が今なおWindows XPを使い続けているのか。マイナビニュース会員500人に聞いた。


    まず最初に、「個人や家族で、Windows XP搭載パソコンを現役で使用していますか?」と聞いたところ、「はい」の回答は34.6%(173人)、「いいえ」は65.4%(327人)だった。実に3人に1人以上の割合で、Windows XPを使い続けていることが明らかになった。


    ■個人や家族で、Windows XP搭載パソコンを現役で使用していますか?


    この設問では、会社や学校などのPCを除外し、回答者個人もしくは家族が所有するPCの状況をつかむことを目的としている。また、単に所有しているWindows XP搭載PCの数ではなく、「現役」で使用している数を明らかにしたい、という意図も含めている。



    次に、複数台のPCを使用しているユーザーが多いことを想定して、複数回答で使用中のOSを選んでもらった。



    ■ 個人や家族で使っているパソコンのOSは次のうちどれですか?(複数回答)


    こちらの結果では、Windows XPの使用率が25.0%(125人)に下がっているが、それでも4人に1人が現役で稼働させていることがわかった。
    もっとも多く使用されているOSはWindows 7で54.4%(272人)。
    Windows 8/8.1の普及率は合算して26.4%(132人)だった。


    2013年11月6日のWDLC記者会見資料より


    さて、IDC Japanの予測では、一般コンシューマーにおけるWindows XP搭載PCの使用率と台数は2013年下半期の時点で14%・597万台に低下するとしていた。この予測値に比べ、マイナビニュース会員のWindows XP使用率はかなり高い。
    セキュリティ更新がなくなるWindows XPを使い続けるのは危険なため、Windows 7やWindows 8/8.1への移行を勧めたい。


    なお、Winodws XPと同じく4月9日にサポート終了となるOffice 2003に関する調査も行っている。こちらは下記の関連記事欄より参照できる。

    http://news.mynavi.jp/articles/2014/03/24/xp01/

    Microsoft社が5年ぶりに発売するパソコン向けの新OS。同社の「Windows XP」の後継製品。企業向けボリュームライセンスリリースが2006年11月、小売店販売およびパソコン製品へのバンドル販売は2007年1月に開始された。世界中では全8種類のエディションが用意され(日本国内では5種類が発売)、それぞれ32ビット版と64ビット版が準備される。

    Windows VistaはWindows XPと比べて様々な新機能が準備されている。ウィンドウ透過させたり3Dで管理できる「Windows Aero」、インターネット接続設定やユーザアカウントの作成など、初期設定がつまった「ウェルカムセンター」、複数の段階でのバックアップと復元を行い、ハードウェア障害やユーザエラーなど問題からデータを保護する「Windowsバックアップ」、デスクトップに機能を追加できる「Windowsサイドバー」や「Windows Vistaガジェット」、ClearTypeに対応した新しい日本語フォントメイリオ」などがある。そのほか、最近公開されたばかりのWindows DefenderやInternet Explorer 7などもWindows Vistaには標準搭載されている。

    Windows Vistaを動作させるための最低システム要件は、800MHz以上のCPU、512MB以上のメインメモリ、20GBのハードディスクとされている。しかし、Windows Vistaの新機能をふんだんに活用するには、それ以上のスペックと高いグラフィック機能が求められる。Windows Vistaの「システムのプロパティ」には、パソコンの動作適正を診断し、最低システム要件を1.0とし、最大5.0までの数値で各種性能を評価するベンチマーク機能が新たに取り入れられている。

    http://e-words.jp/w/Windows20Vista.html









    2001年に登場して以来10年以上にわたりパソコンのOSとして親しまれてきているウィンドウズXPのサポートが2014年4月9日をもっていよいよ終了します。

    マイクロソフトのOSといえば、1995年に発売したウィンドウズ95により、パソコンが一般家庭に普及するきっかけを作りました。
    3年後に登場したウィンドウズ98は安定性を強化し、パソコンがより使いやすくなりました。

    そして、その4年後2001年にウィンドウズXPは登場しました。
    ウィンドウズ95や98のサポートが終了する際にも、ある程度話題になりましたが、その時には利用者はそれほどいないと考えられ、サポート終了による影響も軽微でした。

    今回のXPのサポート終了の影響はそれらとは比べ物にならないほど大きいことが予想されています。
    サポート終了もXP搭載パソコンをは500万台以上が利用され続けると推定され、長く使いるづけれとそれだけ、データ流出などのリスクも高まります。

    個人のデータが流出しても、それほど大事なデータはないと思っている人がいるかもしれませんが、ネットショッピングやインターネットバンキングを利用したことのある場合はそのデータを盗みとられ悪用される恐れもあります。

    企業であれば重要データがパソコン内にあることはほぼ確実なので、個人のパソコンよりもその影響度や深刻度は計り知れないほど大きいことが考えられます。

    使い慣れた親しみのある、今のパソコンを使い続けるにはどうすればいいかというと、選択肢はそれほど多くありません。

    1つめは、OSをウィンドウズ7や8に更新することです

    しかし、単純にこれらのソフトをインストールすればいいかというとそういうわけではありません。

    XP搭載パソコンはCPUなどパソコンの性能が低く、またハードディスク容量も小さいため、これらのソフトが問題なく動く保証はありません。
    たとえ、動いたとしても快適に動くことは余り考えられません。

    この選択は不可能ではないけれども、それほど賢い選択ではありません。
    あるいは、リナックスなどの無償のOSに変更するという選択肢もありますが、これによりパソコンの脆弱性が解決するわけでもなく、ウィンドウズ専用ソフトも使えなくなるので、あまり現実的ではありません。


    2つは、インターネットに繋がずにパソコンを使うということです

    悪意のあるプログラムであるコンピュータウィルスに感染する経路はインターネットを介したものが多いためこれにより、感染の可能性が低くなります。

    ただ、インターネットに繋がないとウィルス感染しないかというとそういうわけではなく、USBやSDメモリカード、DVD、ブルーレイディスクなどの外付けメディアを利用しないと好こと求められます。
    これは多くの利用者が導入しているウィルス対策ソフトで、メディアを利用するごとにスキャンすればそのリスクがかなりおさえられるでしょう。そもそもインターネットに繋いでいなければ、インターネットを介したデータ流出は避けられます。

    インターネットに繋ぐ必要がなく、データの共有が社内LAN環境やUSBメモリだけで足りるということであれば、この使い方は ’あり かもしれません。

    それでも、USBなどの外付けメディアは、これらのパソコン以外利用しないといいった管理を徹底しないと、外部のパソコンを介してデータ流出のリスクは依然として残ります。


    これまでのパソコンを使い続けることは可能ですが、パソコンの最も便利な機能であるといってもいいインターネット接続ができないということは、パソコンとしての機能を最大限に享受できないことになります。
    もともと、インターネットに接続していないという環境以外では、選択肢として、候補には入ってきません。

    利用し続けるには上記2つくらいから選ぶしかないでしょう。
    XP搭載機のままインターネットに接続することは危険すぎるので、やめた方がいいことはいうまでもありません。


    最も賢い選択は、皆さんすでにご存じのように、パソコンそのものを買い替えるということでしょう

    これは個人であればそれほど難しいことではないかもしれません。
    2001年当時、パソコンは今よりもずっと高額で、デスクトップ、ノートパソコンともに20万円以上というものが当たり前でした。

    しかし、2014年4月時点でデスクトップパソコン、ノートパソコンともに4万円くらいから購入することができます。

    XP継続利用者のほとんどはいわゆるタワー型のパソコンを利用していると思われますが、今では家電量販店の店頭にタワー型パソコンを見かけることはあまりありません。
    大型量販店では海外メーカーのタワー型を見ることはありますが、場所を取るという理由で国内の大手パソコンメーカーは、直販以外撤退してしまっているようです。

    長年愛用してきているタワー型パソコンがなくなっているというのは、一抹のさみしさを感じてしまうかもしれませんが、今では液晶一体型が一般的となっています。
    液晶一体型はノートパソコンを卓上型にしただけなので、今では国内のパソコンメーカーは、カスタムメイドを除き、ノート型パソコンを作っているということになります。

    タワー型がほしい場合は、カスタムメイドが基本なので購入する場合は少し面倒かもしれません。
    それでも、タワー型の方が、部品にレイアウトに余裕があるため、ノート型に比べるとハードディスクやCPUに負担が軽く、長く使いたいという場合はタワー型を選んだほうがいいかもしれません。

    10年以上の長きにわたりXPが愛用されてきたのはタワー型パソコンと相性が良かったのかもしれません。

    XPのサポートはすでに終了しており、後ろ髪をひかれつつXP搭載パソコンと別れを告げた人も多いことでしょう。

    今やパソコンは5万円以下で購入できます。20万円出せば、最上位機を買うことも可能です。

    2014年も4月をむかえ、名OSの呼び声高いウィンドウズXPのサービスが終了し、新たなパソコンを導入する時期に来ているのでしょう。





    サポート切れのXP 「もったいない」が危ないわけ


    2014年4月9日、「ウィンドウズXP」のサポートが終わる。
    「使い続けたって大丈夫」と思っている人は意外と多いようだが、継続使用は鍵の壊れた家に住み続けるようなもの。
    マイクロソフト担当者は「今後、新たな脆弱性が見つかる確率は100%。そこを突いて攻撃される可能性も100%」
    と言い切る。サポート終了に伴うリスクの詳細と対策について解説しよう。


    2001年の登場以来、長期にわたり使われてきたウィンドウズXPの寿命が尽きようとしている。異例の長寿を誇ったXPは、いまだに多くの人が使っているが、マイクロソフトは2014年4月9日をもってXPのサポートを終了する(図1)。


    図1 2014年4月9日を最後に、マイクロソフトはウィンドウズXP(SP3)に対するサポートを終える。最新のアンケートでは本誌読者の55%がXPパソコンを保有し、17%がメーンマシンとして使っている。多くのユーザーにとって大きな問題だ
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    図1 2014年4月9日を最後に、マイクロソフトはウィンドウズXP(SP3)に対するサポートを終える。最新のアンケートでは本誌読者の55%がXPパソコンを保有し、17%がメーンマシンとして使っている。多くのユーザーにとって大きな問題だ



    マイクロソフトのサポートがなくなるからといって、XPパソコンが動かなくなるわけではない。だが、マイクロソフトはサポートがなくなったXPの継続使用にはリスクが伴うと警告している。


    ■問題あっても修正されず


    ただ「危険だ、危険だ」と叫ばれても、どんな危険があるのか理解しないと納得できないし、正しい対処もできない。そもそも、マイクロソフトの「サポート」の中身は何だろうか。


    現在、同社のサポート対象になっているのはウィンドウズXPのサービスパック3(SP3)。「延長サポート」と呼ばれる段階にあり、セキュリティーの問題を修正するプログラムと技術情報の提供のほかは、企業向け有償サポートがあるだけ。個人ユーザーにとっては、セキュリティー更新プログラムだけが提供されている状態だと考えてよい。それが4月9日を最後に終了する。


    それだけなら使い続けるのに不便はないと思うユーザーもいるだろう。しかし、セキュリティー更新プログラムが何をしてきたか知れば、考えは変わるはずだ。



    XPに限らず、OS(基本ソフト)には「脆弱性(ぜいじゃくせい)」と呼ばれる弱点が必ずある。コンピューターウイルスなど悪意のあるプログラムの多くは脆弱性を利用して侵入し、情報を盗み出したりパソコンを遠隔操作したりする。


    マイクロソフトは脆弱性が見つかるたびに警告を出し、それを修正するプログラムを「ウィンドウズアップデート」を通じて提供してきた。住宅に例えれば、脆弱性は壊れた窓で、それを見つけた泥棒は容易に侵入できる。ウィンドウズアップデートは窓を修繕して穴をふさぐ役目を果たしてきた(図2)。


    図2 いくら玄関に鍵がかかっていても、窓が壊れていてはたやすく泥棒に入られてしまう。セキュリティー更新プログラム(パッチ)は、「脆弱性」という名の壊れた窓を修繕してふさぐ。ウィンドウズアップデートを正しく実行していれば、通常は問題ない
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    図2 いくら玄関に鍵がかかっていても、窓が壊れていてはたやすく泥棒に入られてしまう。セキュリティー更新プログラム(パッチ)は、「脆弱性」という名の壊れた窓を修繕してふさぐ。ウィンドウズアップデートを正しく実行していれば、通常は問題ない


    ■発見される脆弱性は年300件


    セキュリティー更新プログラムが提供されなくなれば、XPに新たな脆弱性が見つかっても放置される。それなら「新しい脆弱性が見つかるまでは安心して使える」と思うかもしれない。だがそれも大きな間違いだ。



    XPの場合、これまで年間で300件以上の脆弱性が見つかり、セキュリティー関連の更新は累計で518回にも上るという。しかも、4月9日以降は新たな脆弱性が見つかってもマイクロソフトからは情報が提供されないため、ユーザーは危険が迫っていることに気が付かない可能性がある(図3右上)。


    日本マイクロソフトチーフセキュリティアドバイザーの高橋正和氏は、「XPのサポート終了後に、新たな脆弱性が見つかる確率は100%」と言い切る。




    図3 XPを継続利用できない3つの理由
[右上]XPのサポートが終了した後に新たな脆弱性が見つかる可能性は高い。その場合、脆弱性は放置されるだけでなく、ユーザーはその存在を知らずに使い続ける恐れがある。そこを攻撃されれば非常に危険だ
[左上]「脆弱性=製品の欠陥」とは言えない。以前は何の問題もなかった部分が、攻撃手段の高度化によって弱点になる場合がある。OSやアプリのセキュリティー更新は、攻撃者とそれに対応するメーカーとのいたちごっこだ
[下]XP以降のウィンドウズに脆弱性が見つかった場合、同様の問題がXPにも存在する可能性がある。攻撃者は、入手した脆弱性情報を基にXPへの侵入を企てる。サポート中のウィンドウズは修正されるが、XPは放置される
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    図3 XPを継続利用できない3つの理由
    [右上]XPのサポートが終了した後に新たな脆弱性が見つかる可能性は高い。その場合、脆弱性は放置されるだけでなく、ユーザーはその存在を知らずに使い続ける恐れがある。そこを攻撃されれば非常に危険だ
    [左上]「脆弱性=製品の欠陥」とは言えない。以前は何の問題もなかった部分が、攻撃手段の高度化によって弱点になる場合がある。OSやアプリのセキュリティー更新は、攻撃者とそれに対応するメーカーとのいたちごっこだ
    [下]XP以降のウィンドウズに脆弱性が見つかった場合、同様の問題がXPにも存在する可能性がある。攻撃者は、入手した脆弱性情報を基にXPへの侵入を企てる。サポート中のウィンドウズは修正されるが、XPは放置される



    XPの設計の古さを差し引いてもこれだけのセキュリティー更新が必要なのは、常に脆弱性を見つけて攻撃を仕掛ける人間がいるからだ。悪意のある攻撃者は、OSやアプリケーションソフトのどこかに侵入できる穴がないか探し、見つけるとウイルスを送り込む。先ほどの住宅の例えで言うと、高い所にある窓はカギがなくても安全だったが、泥棒が「はしご」という新たな“攻撃手段”を使えば、とたんにその窓は“脆弱性”に変わってしまう(図3左上)。


    同じような攻撃は、XP以降のビスタ/7/8も受けている。ウィンドウズ7で脆弱性が見つかると、同じ問題がXPでも見つかることは多い。ところが、XPのサポート終了後は、7とXPで同じ脆弱性が見つかっても、XPには修正プログラムが提供されない。すると、悪意のある攻撃者は7の脆弱性情報から類推し、XPにも同じ脆弱性を見つけ出して攻撃してくる(図3下)。「XP以降のウィンドウズで見つかった脆弱性を利用してXPに攻撃をかける可能性も100%と考えてよい」(高橋氏)という




    ■不正送金の被害も急増中


    XPは設計が古く、最新のウィンドウズ8.1に比べてセキュリティー面で弱い。実際、ウィンドウズのバージョンごとに比べた悪意のあるプログラム(ウイルスなど)に感染する率は、XPが突出して高い(図4上)。


    ウイルスのような悪意のあるプログラムがパソコンに侵入すると深刻な被害をもたらす(図4下)。警察庁によると、2013年に発生したインターネットバンキングの不正送金による被害額は14億円を超える。被害に遭った口座のほとんどは個人の名義だという。


    金銭の被害に加えて、個人情報や企業の機密情報が盗まれる恐れもある。メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)といったクラウドサービスのアカウントを乗っ取られ、「なりすまし」やネット詐欺などに悪用される例もある。そんなことになれば、社会的な信用を失いかねない。


    図4 [上]マルウエア(ウイルスなど悪意のプログラム)に感染する割合。OS別に見ると、遭遇率(マルウエアに攻撃される確率)はどれも大差はないが、感染率はXPが飛び抜けて高い。最新のウィンドウズ8に比べて、XPはウイルスなどに侵入される危険性が高いことがわかる(「マイクロソフト セキュリティ インテリジェンスレポート第15版」から引用)
[下]パソコンにウイルスなど悪意のプログラムが侵入すると、銀行口座からお金を盗まれるといった深刻な被害に遭う恐れがある。直接被害がなくても、攻撃手段としてパソコンを悪用されることもある
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    図4 [上]マルウエア(ウイルスなど悪意のプログラム)に感染する割合。OS別に見ると、遭遇率(マルウエアに攻撃される確率)はどれも大差はないが、感染率はXPが飛び抜けて高い。最新のウィンドウズ8に比べて、XPはウイルスなどに侵入される危険性が高いことがわかる(「マイクロソフト セキュリティ インテリジェンスレポート第15版」から引用)

    [下]パソコンにウイルスなど悪意のプログラムが侵入すると、銀行口座からお金を盗まれるといった深刻な被害に遭う恐れがある。直接被害がなくても、攻撃手段としてパソコンを悪用されることもある



    自分が被害に遭うだけでなく、他人に危害を加えてしまうこともある。ウイルスに乗っ取られたパソコンは、遠隔操作で詐欺メールを送ったり、企業や政府機関のサーバーにサイバー攻撃を仕掛けるのに利用されたりする。ユーザーが知らないうちに、不正行為に加担することになるかもしれない。


    仮にこの先、XPの脆弱性を利用した不正行為によって金銭的な被害が広範に発生した場合、マイクロソフトに対応を求める声が上がる可能性もある。

    しかし、マイクロソフトは「仮定の話には答えられない」としながらも、「4月9日以降はXPのサポートを提供しない方針に変わりはない」という。


    XPという製品の欠陥によって重大な損害が発生したのならともかく、悪意のある攻撃者による犯罪行為に対して対応を求めるのは現実的ではないだろう。
    かつてピッキング行為による空き巣被害が問題になったことがある。それ以前は単純なシリンダー錠でもそれなりに安全だったが、ピッキングの登場により脆弱な鍵になってしまった。だからといって、錠前のメーカーに「すべて取り換えろ」とはならなかった。まして、XPはOSであってセキュリティー対策ソフトではない。




    ■セキュリティー対策ソフトもサポート終了へ


    XPに脆弱性があったとしても、セキュリティー対策ソフトを使っていれば安心だと思っている人は多いだろう。しかし、セキュリティー対策ソフトは脆弱性のようなOSの根本的な問題は解決できない。
    セキュリティー対策ソフトベンダーのカスペルスキーは、「セキュリティーベンダーは泥棒や押し売りを止めることはできても、問題のある家自体を直すことはできない」(川合林太郎社長)と表現する。


    セキュリティー対策ソフトのリアルタイム保護機能が働いていれば、ウイルスに対しては一定の効果が期待できる。だが、頼みの綱も2年程度で切れてしまう。


    図5 個人ユーザー向けの主なセキュリティー対策ソフトの4月9日以降の対応
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    図5 個人ユーザー向けの主なセキュリティー対策ソフトの4月9日以降の対応



    XPのサポートが終了する4月9日以降の個人向けセキュリティー対策ソフトの対応をまとめたのが図5だ。シマンテックやトレンドマイクロなど主なベンダーは、当面ウイルス定義(パターン)ファイルの提供を続ける。
    ただし、2015年末までには複数のソフトが定義ファイルの更新も終える。


    対応が終了するのは、セキュリティー対策ソフトだけではない。市販、フリーを問わず、アプリケーションソフトや周辺機器のドライバーソフトも、XP用は提供されなくなっている。XPパソコンを「現状のまま」で使うならよいが、新しいソフトやハードを追加しようとすると制約が多い。


    ■最善策は8.1への乗り換え



    図6 4月9日以降、個人のXPユーザーが取れる選択肢は4つ。利害得失を考えると、ウィンドウズ8.1パソコンに乗り換えるのが最善。どうしてもXPを使い続けたい場合は、徹底的なセキュリティー対策が欠かせない
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    図6 4月9日以降、個人のXPユーザーが取れる選択肢は4つ。利害得失を考えると、ウィンドウズ8.1パソコンに乗り換えるのが最善。どうしてもXPを使い続けたい場合は、徹底的なセキュリティー対策が欠かせない



    2001年に登場したウィンドウズXPに対して、最新のウィンドウズ8.1が備えるセキュリティー対策は比べ物にならないくらい強力だ。
    例えば8.1は、プログラムがメモリー上のどこにあるのか特定されないようにする機能を備えている。ウイルスなどから攻撃を受けにくくなる。ユーザーアカウント制御(UAC)も、ユーザーが知らないうちにウイルスなどがシステムを操作するのを防ぐ。セキュリティーの観点からは、ウィンドウズ8.1搭載パソコンに乗り換えるのがベストだ。



     そうは言っても、すぐに新しいパソコンに移行できない人はいるだろう。その場合の選択肢は3つある(図6)。一つは、パソコンにウィンドウズ8.1/7などの新バージョンをインストールする。パソコンを買い替えずに済む半面、古いXPパソコンは性能が低く、8.1や7を導入しても快適に使える保証はない。


    もしくは、リナックスなどほかのOSに入れ替える手もある。リナックスは古いパソコンでも動作が比較的軽快だが、ウィンドウズ専用のソフトは使えない。また、リナックスに移行すればセキュリティー上の問題がなくなるわけでもない。


    最後の選択肢は、対策を施したうえでXPを使い続けること。セキュリティー確保のため、インターネットには絶対につながない。読者の中には「XPパソコンはメールを使うだけ」「できるだけインターネットを使わない」と言う人もいるが、ネットにつないでソフトを使った時点で攻撃対象になるため、対策としては意味がない。


     インターネットはもちろん、家庭内のネットワークにもつながない完全独立状態にする。
    加えて、DVDやUSBメモリーなどのリムーバブルメディアも一切使用しない。メディアを介してウイルスに感染する恐れがあるためだ。


    当然、セキュリティー対策ソフトは導入しておくべきだが、定義ファイルの更新が困難になることは覚えておいた方がいいだろう。ウイルス定義を更新するときだけ、セキュリティー対策ソフトが使用するファイアウオールのポートを開放する方法もあるが、ネットワークの知識が必要で手間もかかる。現実的な運用とは言い難いからだ。


    使用する各ソフトは最新版が望ましい。ソフトにある脆弱性を攻撃される恐れがあるためだ。とはいえ、OSがXPではソフトもすべて最新版というわけにはいかないだろう。


    こうした対策を施したとしても、XP搭載パソコンは使い方が非常に限定される。XPでしか動作しないソフトやハードを使うため完全独立で使う、子供用として特定のソフトだけ使わせるといった使い方しかできないだろう。「まだ使えるパソコンを捨てるのはもったいない」という精神は大事だが、そのために損害を被ることのないようにしてほしい。



    (日経PC21 江口悦弘)


    [日経PC21 2014年5月号の記事を基に再構成]

    http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK3100U_R30C14A3000000/





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