居酒屋チェーン大手のワタミが、店舗数の約1割に相当する60店舗を閉店することになりました。

ブラック企業ランキングでは毎年上位に位置し、いわばブラック企業の代名詞のような企業でしたが、今回の閉店の措置で労働環境が実際に改善されるのかが、今後真価がが問われることになりそうです。

居酒屋チェーン店やファミリーレストランなどの外食チェーン店の労働環境は劣悪であり、労働基準法違反が横行しているということは今や周知の事実です。

これらの外食チェーン店は、店長など正社員のサービス残業を含む長時間労働と時給800円から1000円前後のアルバイト店員の低賃金労働により成り立っています。

外食産業の店長は実質的には労働基準法の経営者と一体的な立場にはない、純然たる労働者でありながら、名ばかり管理職にされ、長時間労働しても残業代が出ないという違法労働が横行しているという問題点もあります。

そもそもサービス残業というのは、法定労働時間を超えて労働しているにもかかわらず残業代が出ないという違法状態の労働であり、サービス残業という名称自体適切ではありません。

サービス残業=違法労働=労働基準法違反=犯罪行為ということを周知させなければいけません。

これらの犯罪行為が当然のように行われているのが外食産業です。

しかし、外食チェーン店で低価格の食事ができるという恩恵はこれらの違法行為によるものだということも忘れてはなりません。

違法行為は許せないけれど、安くてそれなりにおいしい外食チェーン店はありがたいし、自分が関係していない外食産業の労働者のことはそれほど気にしないという人がほとんどだと思います。

外食産業の労働者は格差社会の象徴のようなものでもあると思います。

創業者は末端の労働者の何百倍どころではない数十億もの収入を得ているでしょうし、経営者である取締役も数千万円の収入を得ているでしょう。

ところが、アルバイトは時間にもよりますがせいぜい数十万から200万円程度、残業代がつかない名ばかり管理職の店長でも1000万円にはとうてい届かず、せいぜい400万円から800万円程度でしょう。

ワタミは過去に労災認定されている過労死を引き起こしながら、それほど反省しているところも見せずに開き直っている企業として認識されていることもブラック企業の代名詞的存在となっている理由でしょう。

今回の措置が単なるパフォーマンスなのか、それとも実態を伴った真の労働環境の改善なのかまだわかりません。

そう簡単にこの企業が、というよりも外食産業の構造自体が変わるとは思えませんが、労働環境が改善されるいい契機となる店舗閉店であることを望んでいます。

労働基準法がしっかりと守られ、コンプライアンスが遵守されることは、日本の労働環境中でもっと重視されるべきことですからね。





ワタミ、人手不足解消へ60店閉鎖 居酒屋の1割


ワタミ
は27日、運営する居酒屋の1割となる60店を2014年度中に閉店すると発表した。昨年設置した外部の弁護士などによる有識者委員会が店舗の労働環境の改善を指摘していた。

今後は閉店した店舗の人員をほかの店舗に振り分けて慢性的な人手不足を解消させる。外食産業では景気回復で人手不足が深刻だが、人手不足解消を理由とした閉鎖は珍しい。

 
同社が昨年7月に設置した有識者委員会は1月にまとめた報告書で「所定労働時間を超える長時間労働が存在する」、「労働時間を正しく記録していなかったことがある。(労働者が)そのように指示されたことがある」などと指摘していた。

 
ワタミはこれを受けて、居酒屋の大量閉店を決めた。閉店でパート・アルバイトを含む約770人の従業員を確保し、営業を続ける店舗に振り分ける。1店あたりの正社員の数も現状の1.66人から1.83人に引き上げる。同社は「店舗削減による業績への影響は精査中」としている。

 
ほかにも店長職の場合、これまで会議や研修などに年間で275時間を費やしていたが140時間に削減する。またメンタルヘルス相談窓口や、コンプライアンス委員会も社内に常設する。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ270DC_X20C14A3TJ0000/?dg=1