2014年4月1日、消費税が5%から8%にアップします。

税収が伸び悩み、国が多額の借金を抱えている以上、仕方がないことだと思います。
8%という税率は、他の先進諸国と比べても低く、2015年10月には再び税率をあげ10%になる予定です。

消費税が上がることで懸念されていることはいくつかありますが、やはり相対的に所得が低い世帯の負担が増えるということでしょう。

今回の消費増税では、モノの価格表示がこれまでの総額表示から税抜き表示のみに変更することが認められています。

すでに多くのスーパーマーケットなどの物品販売店では、税抜き表示に変更されています。税込み価格を表示する必要がないため一見すると価格が下がっているような錯覚にとらわれますが、そんなことはありません。

価格は以前と同じか、むしろ上がっているのいずれかで下がっているケースはあまりないようです。

それでも、3月下旬は駆け込み需要の最盛期。多少高くても、増税前に購入しておこうという心理がはたくため、スーパーや家電量販店などは盛況を極めています。

現実的に過去2度の増税時のことを振り返ると、家電などの比較的高額な商品は3月下旬に買うと損をする可能性が高くなります。

現在は増税前ということで軽いパニック状態にあり、衝動的に高額商品を購入してしまう人が多数います。

液晶テレビなどに適用されたエコポイント終了時にも同じような光景が見られました。

こういうときには、増税などの制度が変更される数か月前に底値になり、その後はじりじりと価格が上昇に転じます。

特に増税が1週間を切った今、高額商品を購入することはかなりの確率で得策ではないでしょう。

消費者は増税に備えて、今は買い控えをするほうが賢い選択かもしれません。

ただし、生活必需品などは安い場合も十分あるので、価格をしっかりと考慮したうえでの購入した方がいいことはいうまでもありません。







迫る消費増税、小売店の価格表示のごまかし


安倍晋三首相の下での日本の復活は、基本賃金を上回るインフレ率の上昇をもたらしたため、国民の多くが以前より貧しくなったと感じている。

今は消費税率も引き上げるのに適したタイミングなのだろうか? そうとは言えないだろう。日本政府が小売業者にかつてやったことのないような価格表示法を容認しているのはこのためだ。

 
スターバックスのベンティサイズの抹茶クリームフラペチーノの価格を見てみよう。現在は消費税込みで550円と表示されている。昨年10月に成立した法では、小売業者は店舗内のどこかで消費税の支払い義務を通知している限り、2017年までは税抜き(外税)での価格表示を認められている。

 
スターバックスは消費税引き上げ当日の4月1日に新体系に切り替えることにした。移行後は、フラペチーノの表示価格は税抜きで530円に下がる(税込み価格は572円)。スーパーマーケットやチェーンストアの多くが同様な価格表示を行うことになる。

 
スターバックスは価格を明確にするための表示切り替えだと説明しているが、多くの人は戸惑っている。
「非常識だ」と言うのは、財政赤字削減に関する政府諮問委員会の委員長を務める吉川洋東京大教授だ。
実際には値上げするのに価格を引き下げたように見せるのは「不正行為」であり、「消費者を侮辱するに等しい」と教授は語る。

景気回復の微妙な局面での財政引き締めへの不安

 
この手厳しい言葉は、日本の景気回復の非常に微妙な局面でやって来る財政引き締めを取り巻く不安を示す目安だ。

 
政府が経済規模のほぼ1割に相当する歳出と歳入の巨大なギャップを縮小する必要があることに疑念を抱く人はほとんどいない。さらに大半の人は、安定的に国内総生産(GDP)の60%を占める消費をターゲットにすることがギャップを埋める最善の方法だと主張している。

 
日本の消費税率は、現行の5%から引き上げられて8%になっても、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の半分以下だ。

 
だが、消費税増税は日本の対処能力を超えるとの懸念もある。中には1997年4月の再現に身構える向きもある。当時は3%から5%への消費税増税が停滞を招き、その後、アジア金融危機と銀行部門の破綻で景況が悪化した。

 
確かに、10年以上続く穏やかだが執拗なデフレからの脱却を誓って安倍氏が2012年12月に首相になる前と比べると、日本経済は力強くなったように見える。名目成長率は4四半期連続でプラスとなっており、大手企業の賃金は主として賞与や残業代の増加のおかげで上向いている。

しかし、物価上昇、賃金引き上げ、需要の拡大という安倍氏の「好循環」はまだしっかりと確立されているわけではない。

 
総合指数で1.4%という日本のインフレ率は米国(1.6%)やドイツ(1.2%)と同水準だ。

しかし、日本の物価上昇は、年率0.5%ペースで上昇するサービス分野ではなく、同2.2%上昇した財に負うところが大きく、物価は需要の拡大に引き上げられたのではなく、円の購買力低下によって押し上げられていることを示している。

 
テレビの価格が米国で約13%、ドイツで8%下落している一方、日本では4%近く上昇しているのは、これ以外に理由が見当たらない。

 
一方、賃金水準はインフレ率に追いつくのに四苦八苦している。大企業の従業員にとって、今年は満足のいく春闘だった。
だが、2013年に横ばいだった1人当たりの現金収入は、中小企業(雇用全体の69%を占める)や一時雇用者やパートタイム雇用者(同36%)も恩恵を受けない限り、全国的に増加することはないだろう。

 
全体としては、消費税増税を考慮すると、来年度の実質可処分所得は「減少する運命にある」とみずほ銀行は予測している。

1997年の再来を避けられるのであれば・・・

1997年当時と同様、耐久消費財では現在の低税率を確定しようとする駆け込み需要の兆候が見られ、増税後の落ち込みが避けられないことを示唆している。


それゆえ、政府は増税の影響を相殺するために、低所得者と住宅購入者に対する助成金を含む5兆5000億円の財政支出策――来年度に消費税で得られる見込みの追加税収4兆5000億円を上回る規模――を用意したわけだ。


また、それゆえ価格表示のごまかしが許されているわけだ。ある政府高官によれば、向こう3年間、税抜きの価格表示を認める――ひいては、2015年10月に予定されている10%への第2段階の税率引き上げをカバーする――ことで「消費者心理に与える悪影響を最小限に抑えられるはずだ」という。

 もしうまくいけば、それだけの価値はあるだろう。


By Ben McLannahan in Tokyo
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